2017年

6月

26日

異端児

 私の傍らに一冊の書籍があります。若い頃に購入した本なので、最新の時世を反映するものではありませんが、何気ない話題から記憶がよみがえって、再びページをめくってみたくなりました。その本とは、日本経済新聞社から1994年に出版された「現代経済学の巨人たち」です。執筆者が複数なので日本経済新聞社編とされています。

 

 目次に目を通すと「ケインズ」「シュンペーター」を筆頭に28人の経済学者の名前が並んでいます。その一人一人それぞれについてエピソードを交えながら考え方のメカニズムと実社会における経済制度・政策に及ぼした影響を解説しています。これらの経済学者と呼ばれる人たちは経済学という学問の分野を創り上げてきましたが、彼らの多く、特に早い時期に活躍した人たちにとって、当初は経済学という学問分野は存在せず、別の分野を専攻に選んでいます。そして、そこで身に着けた手法を上手に応用して新たな命題である「社会における人々の経済活動」を解き明かす術としているようです。その術として使われている学問は数学や法学に留まらず、意外にも物理学などの自然科学であったようです。

 

 こうした経緯を考えると、新しい学問を切り開いた先人は、きっと異端児として扱われたのだろうと思ってしまいます。周囲の研究者が皆、自然界の森羅万象を解き明かそうと熱っぽく語っている中、一人で人間臭い営みについて興味を示している変わり者だったのかもしれません。また、新たなフィールドで、その人たちを受け入れる側も数学的処理の訓練が

為されていないがゆえに新しく導入される自然科学の手法に違和感を覚えたのではないかと思います。

 

 

 冒頭に紹介した本は、経済学を築いた巨人の知性と業績を駆け足で盛りだくさんに解説しようというのが主旨だろうと思いますが、私にとって、その理論を理解するには難解すぎたようです。ただ、この本に描かれた人々に限らず、新しいことを手掛けるパイオニアは常に異端児であったのかな、との印象が残る一冊でした。

 

 

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2017年

6月

19日

時限爆弾

今、「静かな時限爆弾」として恐れられている社会問題をご存知でしょうか?それは、アスベストによる健康被害です。アスベストとは天然鉱物の一種で別名「石綿」ともいいます。この物質は保温性、耐火性、絶縁性などにおいて非常に優れた性質があり、かつては建築材料として広く、一般に使われていました。ところが、アスベストの粉塵を吸い込むと数十年後に肺がんなどの深刻な病気を引き起こす危険性があるらしいのです。数十年前に吸い込んだことが原因で、しかも、それから何の症状も現れず、忘れたころになって発症することから時限爆弾と呼ばれようになったのでしょう。

 

この問題の恐ろしいのは、静かなところです。つまり、数十年間、発症しないので、発病の因果関係も含めて注目されず、その間、利便性のみに光が当たって広く普及してしまったことです。昭和30年代当初から使用され始め、昭和58年頃になって、ようやく、その危険性が認識されて使用が制限されました。その間、日本のいたるところで多くの人々がアスベストと身近に接することとなりました。この恐ろしい事実が、今後、患者の増加として顕著になってくることが懸念されています。

 

問題はそれだけに留まりません。アスベストの多くは建築資材として使用されましたが、その当時の家屋が、そのままアスベストを残して現存しています。さすがに、表面に露出していては危険だということで、遮蔽物に覆いかぶされているでしょうが、今後、そういった建物の老朽化に伴って解体作業が行われる際、その作業員や近隣に対して細心の注意を払う必要があります。

 

 

我々、不動産業界においても建物を取引するときの重要事項説明にアスベストに関する調査結果の項目があります。この問題が大きな社会問題となるのはこれからだろうと思っています。

 

 

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2017年

6月

12日

国別こだわり

 “日本特有”の文化はいろいろありますが、生活に深く根付いているわりに、あるいはそれだからこそ改めて“日本特有”として意識しないで自然に使っているものとして「和暦」を挙げてみたいと思います。

 

 私は幼いころから自分の生年月日は昭和○○年と表記し、履歴書や役所の書類に記載する日付も和暦を使うことが多かったと思います。最近になって西暦も併用するようになりましたが、どちらかというと公式な状況になるほど和暦を使うように感じます。それだけ生活に浸透しているのだと思います。でも、この状況を海外から眺めると、これだけ欧米化が進んでいると思われる日本において和暦がこのように深く根付いていることを奇異に感じるだろうと思います。

 

 似たようなことをアメリカで感じたことがあります。アメリカでは一般に距離の単位にメートル法は使わず、“マイル”や“フィート”を使います。そして極め付けは1/12フィートを”インチ“として使っています。日本でもかつて尺貫法が一般的であった時代もありましたが、現代社会で使う単位としては、これら生活や人間の体の寸法などから編み出された単位よりも、科学的に地球の大きさを測定した数字を元にした単位であるメートルのほうが、精密さや各国における共通性を重視したとき便利です。世界で最先端を行くアメリカにおいて、これを奇異に感じるのは私だけでしょうか。

 

 これらは、各国それぞれの事情による「こだわり」があるのでしょう。グローバル化、国際化とは、何でも共通化するのではなく、どの国においても存在する、こういった違いを個性として理解し、尊重できることが大切だろうと思います。

 

 

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2017年

6月

05日

雨降る日に思うこと

月日が経つのは本当に早いもので、今年も、もうすぐ梅雨の季節がやってきます。ところで、なぜ夏前の長雨の季節を「梅雨」と呼ぶのでしょうか?一説によると、毎日、雨が降るので「毎」の字が入っている梅の雨にしたとありますが、何だかこじつけのようで信じがたいですね。これに関しては、よくわからないというのが本当のところのようです。

 

日本語には雨に関する多くの言葉があります。ちょっと調べてみましたが、あまりに多いので、ここでは、ほんの一部だけ挙げてみます。

 

五月雨:五月の雨、梅雨時の雨、継続的な意味を形容

 

村雨:強く降ってすぐ止む雨、にわか雨と同義

 

時雨:秋から冬にかけて一時的に降ったり止んだりする雨

 

こぬか雨:春に降る非常に細かな雨。秋に降る場合は霧雨と呼ぶことが多い

 

これらは、その一言で、季節や雨の降る様子を表現し、場合によっては鮮やかな映像がイメージとして浮かんできます。それゆえ俳句にも季語として使われることが多いのでしょう。

松尾芭蕉も次の句を詠んでいます。

 

五月雨を 集めて早し 最上川

初しぐれ 猿も小蓑を ほしげ也

 

 

 梅雨の季節を鬱陶しく思う方が多いと思いますが、夏場の水資源の確保や作物の生育には欠かせない慈雨でもあります。芭蕉に倣って一句とまではいかなくても雨について考えを巡らしてみました。最後に、世界のどこであっても、テロなどによる血の雨は降らないでほしいと願っています。

 

 

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2017年

6月

01日

社名を変更して早2年

 6月1日をもって弊社の社名を変更して2年が経ちます。今回は、この2年間を振り返ってみたいと思います。

 

昨年の一周年のときにも、このコーナーで述べましたが、当初は電話を受けるにも言い間違えないように緊張を強いられました。それが、この頃では何のためらいもなく、スラッと社名が口から出てきます。そのこと自体は当然であり、また、そうなってもらわないと困るわけですが、それだけでは何のために社名変更したかわかりません。社名に込められた「バリュアブル」の理念を社員一同がどのように理解し、実践してきたか、それと、そのことが社外の方にどのように受け止められて、それが弊社の業績にどう反映しているかを確かめてこそ、社名を変更したことの意義が認められると思っています。

 

住宅の価値は客観的には、その価格に表れますが、やはり高い評価をいただくために突き詰めていけば、住みやすい住環境を提供することです。そして、そのために無制限にお金をかければいいといった単純なものではなく、費用に対して相対的に、どれだけ住み心地がよくなったかという考え方も大切です。弊社は、この二年間で多数の住宅を取得してきましたが、従来の管理会社から自社管理に切り替えて共用部分の清掃等のクオリティーを高めることを試みたことがありました。また、空室を新たに募集するときも室内の改修にあたり、借りる方に満足してもらえるようにデザインや器具、機器類の使い勝手に創意工夫を凝らしてきました。新しい試みとしてTカードとの提携で家賃の支払いでTポイントが貯まるようにしました。その他にも賃借人からお部屋の不具合について連絡があれば、即座に解決するよう心掛けてきました。

 

 

このような努力の結果、二年間を通して賃貸物件及び管理物件の高稼働率を実現しました。そこには社員全員のバリュアブルに対する心意気があったと信じています。お陰様で、昨年3月決算では100万円、今年3月決算では980万円と二年連続で利益目標を達成しました。弊社の利益は、こうした地道な活動の積み重ねでできており、それは、そのままお客様の弊社にたいする評価の表れであると理解しています。これからも一層の精進を重ねてまいる所存です。どうぞお引き立てのほどお願い申し上げます。

 

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