2019年

3月

26日

花見に浮かれて

今年も桜の季節がやってきました。これから12週間は花見に忙しい方もいらっしゃると思います。日本各地に桜の名所はありますが、私は地元蒲田で事務所近くの公園、それと目黒川ほとりに立つ知人のマンションのバルコニー、もう一つ白金にある八芳園の庭園を予定しています。また今年も、桜にかこつけて美味しい料理と酒を堪能することに、日本人である幸せを感じます。近年は桜を目当てに日本を訪れる外国人旅行者も増えていると聞きます。

 

この季節に毎年咲く桜は、姿の美しさだけでなく、いろいろな思い出を彷彿させます。それは何も飲食を伴うイベントとしての花見ばかりでなく、通勤、通学の道すがら眺めた桜であったり、電車の窓から思いもかけず目に飛び込んできた光景など、日常生活に深く根付いた体験からくると感じます。中には生涯のうち何度もない晴れ舞台の思い出と重なることあるのではないでしょうか。

 

 

我が家のリビングルームの窓からも遠目に見事な桜が眺められます。単純に、その美しさを愛でるのであれば、集って出かけることもなかろうに、やはり、お祭り気分に浮かれて外出するところが俗人の証なのでしょうか。ここは、ひとつ「俗人大いに結構!」と居直って楽しみたいと思います。

 

 

 

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2019年

3月

20日

仕事をすることで何を実現したいか?

 私の好きな小説として、まずは夏目漱石の「草枕」の名が最初に挙がります。高校時代に夢中になって読み耽ったことも遠い記憶の彼方になってしまいましたが、これまで、そしてこれからの人生にも影響を与える作品であることに違いありません。

 

まずは、「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ、情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに、人の世は住みにくい。」の一文で始まり、現世を皮肉って捨ておきながらも、続く文章で同じ現世(そこに生きる人々)から溢れる出る情感を冷徹な理性による観察眼と深い洞察力によって描写してゆきます。この作品のテーマは「労働」の意味を問うことではなく、労働も含めた生活全般、つまり人の世の理あるいは不条理を描いていると理解しています。それにしても、冒頭に「智に働けば…」とくるように、生活全般における「労働」の占める重要性は大きく、その内容を決定する職業は、その人生にとって重要な要素であるに違いありません。

 

私も昨年、還暦を迎えて一昔前であれば仕事を引退して悠々自適の隠居生活もしくは老体に鞭打って再就職し、第二の職業を選んでも不思議ではないのでしょう。しかし、昨今の社会情勢は将来の労働人口の減少を見据えて、まだまだ働き続けることを是とする方向に風が吹いています。私の場合、会社の代表者という立場から、ある程度は仕事の種類や方針などを自身の意志で選ぶことができる反面、様々な制約があって簡単に会社と縁を切るわけにはいきません。したがって、これまでよりも気儘ではあっても、この会社で仕事を続けることしか選択肢がないと言えます。

 

 

漱石を真似るわけではありませんが、このように皮相的な表現で今の状況を語ることもできます。しかし、この年齢になって仕事と縁が切れないなんて実は大変、幸せなことであるとも考えられます。その前提には働くことの目的が日々の糧を得ることのみではなくて、「仕事をすることで実現したいもの」をしっかり見据えていることが必要不可欠であろうと考えます。これは、たぶん誰もが持っているものであって、明瞭な言葉で言い表せる人もいれば、普段は意識の表層に上らなくとも心の奥底に大切に仕舞い込んでいる場合もあるでしょう。仕事を続けて行ける幸せを確認しようと、山路を登る途中、少し足を止めて「仕舞い込んだ大切なもの」を探り当てようしています。智に働かなくても角が立つばかりです。

 

 

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2019年

3月

12日

これぞ大家業の生きる道

 これまで回を重ねる中で、あれやこれやと大家業の特色に触れてきました。ここで、もう一度それを整理してみます。

 

 1.    大きな初期投資が必要であることから、もとから保有する資産の活用に適している。

 2.    収入は安定するが上限があって、事業を拡大するには、新たに再投資が必要である。

 3.    新規賃貸募集や賃貸中の管理など現場の仕事を容易に外注できる。

 

 弊社は、規模の利益を享受すべく、出来る限りの資金調達を試みて優良な不動産を買い集めました。しかし、これには限界があり、いずれ、弊社の財務内容や信用力を超越することとなり、事業を拡大することが困難になります。それを補うために、まずは保有している不動産からの収入を限界値まで引き上げる、つまり個々の家賃を近隣相場の上限に設定し、なおかつ稼働率を限りなく100%に近づけることを目指しています。そのためには、賃借人の立場に立ち、賃借人に寄り添う必要があります。

 

収入を限界値まで引き上げておいて次に取り組んだのは支出の削減です。そうは言っても内装や設備に支出を惜しんで、実際に住んでもらう賃借人に不便を感じさせるわけにはいきません。そこで、これまでは一部、外注に頼っていた管理業務を自社で内製化し、支払手数料を節約することにしました。これは、社内の人件費との兼ね合いもあって、一方が減れば、一方が増える関係にあります。ただし、規模が大きくなるほど内製化の効果が生きてくると考えて推し進めました。

 

しかし、それだけでは、まだ不十分なので、内製化によって得られた賃貸管理のノウハウ、人的能力を活かして、他のオーナーから管理を受託して手数料を稼ぐことを心がけてきました。手数料収入というのは初期投資が小さくて済むうえに「売上=粗利」なので、利益率が高くなり、思いのほか利益とキャッシュフローに貢献します。また、大家としてマンションを所有することは管理組合においては、当事者の一人として権利を行使することができます。弊社はマンション全体の利益を最優先していますが、マンション管理における様々な周辺業務を競合なしに無条件で受注していたビジネス環境に一石を投じることになりました。弊社が正当な利益を得ながら、既存の業者より低価格でサービスを提供できるチャンスが見いだせれば、管理組合と弊社の両方にとって利益があります。

 

 

今は、事業を急激に拡大するよりも、こうして少しずつでも利益を残し、キャッシュフローの改善を図ってゆくことで、信用力を増強していくことを大切に思っています。これこそが、次のステップへの助走であると信じて精進してまいります。

 

 

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2019年

3月

05日

大家業を選択

 前回、前々回と「不動産業って???」と題して不動産業の中の大家業の位置づけについて、長々と語ってしまいました。その上で、敢えて(・・・)弊社の主力事業に大家業を選択するに至った事情とは売却しても利益を残す事業環境ではなくなったということです

 

 私が収益不動産に注目したのは平成13年頃でした。当時はバブル崩壊の疵が癒える前で、「不動産の購入」に対するアレルギーが蔓延する中で、多額の借金を抱えて不動産を手放さざるをえないオーナーに出くわすことは、個人、法人を問わず、そう珍しいことではありませんでした。この頃、私の頭の中には、ひとつの方程式があって、表面利回り13%で仕入れた収益不動産を同10%で売却することを目安にしていました。勿論、その保有期間に建物の整備や賃借人の優良化などを試みることなど、弊社のスキルの原型が培われることになります。

 

ところが、その後、競合他社や個人の動きなど事業環境が変化してきました。経験の浅い一般の人でも資金を準備できれば、手数料を支払って地元の不動産業者に実務を委託することで容易に参入できます。他にもファンドなど、多くの購入希望者がひしめき、仕入れ価格は高騰してゆきます。こうした市場環境の変化に対応するため、出口である売却価格を膨らませるため、不動産の小口化、証券化なども研究しました。しかし、どれも一時の弊社の利益のために将来にわたって不動産の価値を毀損する恐れがあり健全性に欠けるとして断念しました。

 

ところで、仕入れ価格が高騰する要因となった「個人の不動産投資」を薦める書籍やセミナーをよく見かけます。そこでは利息や建物の減価償却による節税効果などの様々なテクニックが紹介されており、その通りにしていれば資産がどんどん増えて大儲けできるような記述が目に付きます。しかし、実情は、長期間にわたり多額の資金を必要とする事業であるがゆえに、大きな借金をする場合が多く、その返済をしながら利益を残すのは容易ではありません。昔から、新規に資金調達して始めるにはハードルが高く、もともと潤沢な自己資金があるか、または既に所有している(たとえば親から相続した)土地の有効活用に適した事業とされてきました。また、既に大家業を営んでいる場合でも、急激に事業規模を拡大することが難しいのも新規参入の場合と同じく新たに借入をするからです。そのことは、弊社においても同じだといえます。弊社も事業拡大のため賃貸用不動産取得のために多額の借入金返済をしており、それでも尚、利益を出すために様々な努力を積み重ねています。

 

 

つづく

 

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