権利書に絡んだ苦い体験

テレビドラマの一幕です。如何にも強欲そうな中年男性が借金を返済できない主人公から不動産の権利書をむしり取って悠々と引き上げてゆくシーンを見て子供心にそういうものか、との印象が刻まれています。それは、和紙にタイプできちんと印字され、そこに朱色の印影が鮮やかに押してある。あるいはその書類を保護するための立派な厚紙の表紙がかけてあって、そこには例えば唐草模様の縁取りがあったりして、そんなイメージです。

権利書とは何でしょうか?それは、前の所有者から自分の所有になったことを法務局に保管されている登記簿に登記するときの届出書が登記完了の証に返還されたもので、売却等で次の所有者に権利を移そうとしたとき、その新たな事実を登記簿に再度登記するために必要な重要書類である、というのが私の理解です。司法書士さん、もし間違っていたら遠慮せず指摘してください。そして、平成19年から20年頃にかけて登記簿の電子化に伴って「登記識別情報」という新しい形式に変わってきました。でも、それ以前の書類が無効かというと、そうではなく、それ以前のものは次の登記に使われるまでは有効です。

実際の不動産の取引では売買代金と引き換えに権利書を含む登記に必要な書類をすべて渡して、いつでも登記できる状態にするわけですが、このときになって権利書が見つからないことや権利書ではない書類または不完全な書類をお持ちになることがあり、その都度、私自身の未熟さを反省して今日まできました。権利書と間違いやすいものとして、その不動産の登記簿謄本。これは登記簿に記載されている事柄を証明するものです。その他、所有権移転ではなくて、たとえば抵当権設定の登記申請書類とか、一戸建ての土地と家屋が別々の権利書になっていて、その一方のみとか。特に登記簿謄本は該当する不動産のことが所有者の名前など、きちんと表記されているので間違われやすい。それでは不動産はなぜ登記するのでしょうか?若い頃に資格取得のために一所懸命に勉強したことによると「登記記載事項は第三者に対する対抗要件であるが、必ずしも真実とは限らない」はずです。取引の当事者間で売買が無事に完了しても第三者にその事実を主張するには登記しなければなりません。そう考えると登記簿謄本は第三者に見せるためのものであって、その不動産の状況を調べたい人は誰でも取得できるわけです。売買に際して本当の売主であることの証としては不適合なんでしょうね。