設立手続から遠回り(創業秘話4)

話を再び1996年秋に戻します。成田空港からとりあえず私の実家に身を寄せ、そこから歩ける距離に用意しておいた賃貸アパートを自宅として荷物の整理のために通いつつ、同時に新会社の立ち上げの準備に取り掛かりました。本社所在地となるべく事務所を探し、社名を考え、必要な届出や免許の手続を進めるなど、やることはたくさんあっても希望に満ちた楽しい作業でした。

 

使命感も明確なビジネスモデルもないまま、とにかく走り出しました。唯一、遠い、遠い彼方にぼんやりとした姿が浮かんでいたのは、この直前に辞表を提出したばかりの父の会社の模倣でした。ですから、そのために不可欠な建設業免許と宅地建物取引業免許を取得しましたが、このうちの建設業免許を取得するために、既存の建設会社である落合工務店に資本参加(全株式を取得)するとともに、前経営者の落合氏を副社長として代表権者に残して19972月に旧落合工務店を引き継ぐことでスタートしました。

 

落合氏は古くからの父の知り合いで、この度の経営権の譲渡に際して誠心誠意の対応をしてくれました。また、私のほうでも落合氏が困らぬよう努めてきたつもりです。落合氏とは今でも良いお付き合いが続いています。それでも落合氏が2年程で弊社を去ったのはご高齢であったことだけではなく、それまでの自分の流儀と大きく変わったことに違和感があったろうと思います。

 

弊社としても本来であれば旧落合工務店の什器備品、技術力、所謂のれん等すべてを引き継ぐべきところ、建設業免許の要件を満たす部分のみ引き継いだに過ぎず、また後に建設業免許についても会社の方針から鑑みて更新を取り止めたことを考慮すると、まったく不合理な経緯であって遠回りをしてしまったと思います。

(つづく)