主力事業の交代(創業秘話6)

こうして建設業にチャレンジした私ですが、それなりの覚悟で臨んだものの、人並みの努力ですんなりと成功を勝ち取ろうとは虫が良すぎたようです。いろいろありましたが、結局のところ事業に向き合う私の姿勢は株式上場が目的になっており、そのための手段として見込みがありそうな事業であれば何でもよかったのです。そこには社会に対する使命感といった意識が希薄であって、何も建設業に固執する理由はありませんでした。一方で採算を度外視してこの建設業を続けていたら、資金面で相当の体力を消耗して弊社のポテンシャルが下がってしまったと思います。それだけは、避けなければなりません。

 

実際に創業期に多くの方に建物を新築するお話を紹介していただき、そのうち利益が見込める案件については受注し、完成するまで心血を注いで対応することにより施主にも満足していただきました。しかし、このように上手くいくことは年に1件程度でほとんどの案件は「仕事をやるから安くしろ!」といった態度で、非常識と思える値引きを迫ってきたり、支払条件として工事代金の90%を完成引渡し後10か月の手形などという、到底容認できないものもありました。この時期、役所の入札にも応じてみましたが、状況は同じです。

 

一番印象に残る案件は、品川区に店舗兼住宅を約6000万円で受注したときのことです。コンサルタントを本業とする会社が元請として受注し、そっくりそのまま弊社に丸投げ発注してきました。(建設業法で丸投げは禁止されている)そして、工事の途中に元請の会社が倒産。施主から元請業者に工事代金が支払われる際に同席して、弊社の取り分を回収しました。こうしているうちに受注工事は既存建物の改修、補修ばかりになり1件あたりの金額も小さくなり、忙しいのに利益がでない状況に陥っていきます。

 

さて、私は、使命感はなくても利益追求には神経が敏感に反応する体質のようでして、一旦、請負工事の受注に血眼になるのはストップ。これまで養ってきた工事の技術を購入物件を探す際の目として、また判断するときのマニュアルとして活用し、不動産の売買収益と保有期間の家賃収入との組合せによって利益を確保したいと考えるようになりました。

(つづく)