「高く査定します」は・・・

物を売ったり買ったりする時、最近はネットの普及により、価格の「比較」が容易になってきました。「価格.com」に代表されるように、消費者が一番有利な価格を選択できる時代になっています。では不動産業界はどうかというと、これは「世界に一つしかない」という不動産の特徴もあって、なかなかうまくはいかないのではないかと常々考えています。

 

 

そんなことはないのではないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。例えば「不動産を売る時」の価格比較サイトとして、『スマイスター』(→こちら)というサイトがあります。

「約800社の中から不動産の査定額を見積り比較できる」とのうたい文句です。

このサイトによると、不動産会社によって

  得意とする物件が違う

  同じような物件の取引事例がある

  今後相場が上がると考えている

などの理由によって査定額が異なり、したがって、「比較をしなければ始まらない」としています。

 

一見、もっともらしいのですが、これはあくまでも「査定」の話です。「いくらくらいで売れるかもしれない」という単なる予想です。不動産の価格は最終的には購入される方との相対条件によって決まってきます。大事なことは、「査定額で売れるわけではない」ということです。

 

不動産業者は販売を任されれば、手数料がもらえます。となると、まず大事なのはお客さんを捕まえることです。とりあえず高い査定を出してお客さんから売却依頼の契約(媒介契約)をもらい、売れなければ値段を下げるよう誘導して売却させるという事も考えられます。事実、そういうことは極めてよくあることです。

 

不動産の価格には、相場や物件の条件によって適正価格の範囲というものがあります。お客さんの数はピラミッド型で、高くなれば少なくなり、低くなれば多くなります。値段が高ければ売れるのにも時間はかかるでしょうし、適正価格の範囲を超えて高ければ買い手は現れないでしょう。ひどい不動産屋になると、わざと高い査定を出して契約だけ取っておいて(当然買い手は現れない)、しばらく放置したあとで、「売れないので価格を下げましょう」と提案し値段を適正価格に下げさせることをします。売り手としては、時間だけがダラダラ過ぎるのも辛いので値段を下げざるを得ませんが、その間の時間をロスしてしまいます。気がつけば、最初に良心的な不動産屋が提示していた査定額で売れたとなると、初めからその良心的な不動産屋に任せておいた方が良かったとなりかねません。

 

『スマイスター』が安心できないサイトだとは申しません。むしろ健全かもしれません。但し、そこに参加してくる業者のことはわかりません。不動産業者は大手であっても安心はできません。そういうことがあるので、「高く査定します!」と元気よく言われた場合は、うっかり鵜呑みにしないことが大切だと言えます。

 

不動産にまつわる豆知識として、ご活用下さい。 

 

(H)