これってバブルなの?

前回、不動産の価格が異常に高騰したとき、その中には本来の価値にビールの泡に例えられるバブルが上乗せされていたことを記述しました。それでは、本来の価値とはおいくら?ビールの場合は一目でわかりますが、不動産の価格ではどのあたりが妥当なのでしょうか。

 

不動産の価値を算出する専門の職業があります。不動産鑑定士といって非常に難関な資格試験をパスした後に実務経験を経て就く権威のある職業です。この人たちの算出方法を不完全ではありますが真似てみましょう。

不動産価格の算出方法には3通りあります。以下に示すとおりです。

・近隣の取引事例との比較(比準価格)

・土地の造成費用や建物の建築費用などを積算(積算価格)

・対象不動産から得られる収益と期待利回りから逆算(収益還元価格)

 

同じ不動産でもこの3通りの方法で算出すると、ほとんどの場合、それぞれ異なる価格になると思います。この三つの数字を元に対象不動産固有の特質を考慮して、ときには平均値、ときには重みづけを変えるなどして理論値を導き出します。

その過程において様々な状況に合わせた判断をしなければならないことがあります。たとえば、近隣の事例と比較するとき、どの要因がどのくらい有利〈不利〉に働くか?工事費用を積算するときも技術的な判断を求められます。期待利回りから計算するときだって刻々と移り変わる経済情勢の中で妥当な数値を判断しなければなりません。こうして苦労の末に出てきた価格が鑑定価格ですが、実際の取引においては、鑑定価格は参考程度にしかならず、なんの関係もなしに取引が行われます。

 

極論を言えば、不動産の取引において価格が決定するのは当事者である売主と買主が双方納得した数字であって、その他の数字は合意にいたるまでの参考資料でしかありません。そして、これら参考資料の集積が不動産の相場を形成し、売主と買主のマインドに影響をもたらしますが、バブル期の価格形成を振り返って特筆しておきたいのは、上記3通りの算出方法のうち比準価格だけが判断根拠になっていったことです。価格上昇の連鎖が止まらなかった理由はここにあると思います。

 

 

次回はバブルの崩壊をテーマにお話しを進めてまいります。

  (つづく)