バブル崩壊後のトンネル

 放っておけば、どこまでも膨張し続けるかに思えたバブルも、政府・日銀の強引な政策が皮肉にも功を奏して、これまで経験したことのない異変が顕著になってきました。まず、取引の前に届出が必要となり、迅速な契約ができなくなりました。売主、買主互いに価格や条件で合意しても、それから届出をして、受け付けてもらうまで2か月くらい日数がかかります。これで購入して直ぐに売却すること(いわゆるコロガシ)ができなくなりました。また、購入すれば必ず値上がりすることを前提にお金と物件をセットで揃えて持って来ていた銀行も、すっかり貸し出しに消極的になってしまいました。そしてイラクのクェート侵攻とそれに対抗するUSAを中心とする多国籍軍の宣戦布告。いわゆる第一次湾岸戦争を境に完全にバブルは弾け飛んでしまいました。

 

その後、不動産市況は長らく低迷を続けることになりますが、その間、立場の違いによって被害の程度やその原因が大分異なっていました。たとえば、仲介業者の場合は不動産が値下がりして取引価格が小さくなった分だけ手数料が小さくなりますが、取引件数を増やせば何とかやっていけます。売主も買主も金融機関から借入さえなければ窮屈な思いはしますが何とかやっていけます。悲劇の主役は金融機関からどっさり借入をして不動産を取得したままバブル崩壊を迎えた人たちでした。

 

 買って持ち続ければ必ず値上がりすると信じた人たちは、銀行が勧めるままにお金を借りて、どんな不動産でもとりあえず買ってしまい、借入金の返済に困れば高値で売って借金を返済して余ったお金が儲けになるはずでした。ところが、バブルが崩壊して不動産価格は急落し、売るに売れません。購入するとき自身で利用することや投資用として収支まで考えないで取得した場合がほとんどで、後には役に立たない不動産と巨額な借金だけが残りました。

 

 この後始末に10年が費やされ、借金苦の中で沈んでゆく当事者は勿論のこと、不動産業や金融機関も痛みを分かち合い、それだけでは足りず、いくつかの企業が生贄として消えていった。といいうのが私の目に映ったトンネル内の概要です。

 

 ところで、このお話において被害を受けなかった人たちがいると思いませんか?次回はそのことに絡めて弊社の不動産投資に対する考え方に言及して終わりたいと思います。

 

(つづく)