重要事項説明書は誰のためにあるのか?

前回、不動産の取引において契約書と重要事項説明書の二つが特に大切な書類であることを申し上げました。今回は、その重要事項説明書についてちょっと皮肉っぽい意見を披露してみましょう。

 

題名でひとつの疑問を投げかけてみました。誰のための重要事項説明書なのか?答えは取引の当事者である買主のためです。これから対象物件を購入しようとする買主に物件の状況や特性を事細かに説明し尽して安心して購入してもらうことは、この書類の大切な役割です。

 

一方、この書類が作成できるのは宅地建物取引士の資格を持った者でなければなりません。そして、その有資格者が所属する宅地建物取引業の免許を持つ不動産会社が発行します。そこで、何故、苦労して調査し何十ページにもなる書類を発行するかというと、お客様のお役に立つことと同時に仲介手数料をいただく為でもあります。仲介手数料をいただくにはこの書類に書かれた内容を書面によって有資格者が説明することにより買主に十分に理解してもらわなければなりません。そして、その証として買主の署名押印のある書類の原本を不動産会社が持つことになります。(他の書類は当事者が原本を持ち、不動産会社はコピーを持つことが多い)

 

弊社も含め、不動産会社が仲介手数料をいただくことは正当な報酬であって、お役に立った分、手数料をいただくことで生活の糧とすることに意義を感じます。

しかし、重要事項説明は仲介手数料の必要条件ではあっても、これだけやっておけば何が何でも仲介手数料を頂戴して構わない、と考えるのは「お客様を大切にする心」から外れています。

 

例えば重要事項説明は必ず契約書を交わす前(通常は直前)に行われますが、それが終了した後にきちんと契約が成立したにもかかわらず、何らかの理由で壊れてしまった場合なども考えられます。

この場合、取引自体は完了しませんが、それでも不動産会社は仲介手数料を請求することができることがあるようです。勿論、状況によってであることが前提です。つまり、重要事項説明さえすればよい、という考え方が仲介手数料のために独り歩きしてしまいかねません。

誠心誠意、お客様のために奔走した結果、このようになったとしても、取引自体がなくなって平気で手数料をいただく権利を主張することが商道徳の観点から適切でしょうか?

 

 

皆さんはどう、お考えですか?