エスクロウ サービス

エスクロウという言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、今回は、それが何を意味するのかを明確に整理してみます。英語の綴りは “escrow” です。もともとは「商取引において一定の条件が満たされた場合に代金を相手方に支払う約束のもとで第三者に預託する」といったことで、不動産の取引にかかわらず、広く一般の業態で使われる制度らしいのですが、それが日常生活において頻繁に経験するものではありませんよね。そこで、言葉の定義や解釈はこれくらいにして、今後、皆さんが不動産にかかわる取引において知っておいたほうがいいと思われることに絞ってお話しを進めてまいります。

 

「エスクロウ サービス」とは何なのか?の前に、この制度を不動産取引の安全性確保のために利用したのはUSAカリフォルニア州が始まりだそうです。また、私が実際に経験したのはハワイ州においてのみですから、この二つの州以外は同じUSA でも同じとは限りません。ご存知のとおりUSAは合衆国なので各州で法律が異なるので他の州の場合は要注意です。

 

さて、カリフォルニアで始まったこの制度は、取引の安全性の確保が目的であると記しましたが、それでは逆に安全性が損なわれる場合の事例を挙げてみましょう。不動産の売買において契約したことが、そのとおり実行されて取引が完了するためには売主、買主双方のそれぞれにやらなければならない義務と相手に要求できる権利があります。話を単純化すると、売主の義務は物件を期日までに空き家にするなど決められた条件の状態にして引き渡すことです。買主の義務は期日までに売買代金を支払うことです。そして、それぞれの権利は相手方の義務の実行ということになります。取引の安全性が損なわれるということは、どちらか一方が義務を果たせない(あるいは故意に果たそうとしない)場合に、相手方が既に何らかの行為の履行に着手しており、契約が中断することで損害が発生することを阻止できない状態とでもいいましょうか。

 

たとえば、自宅として使用している不動産の売却にあたって売主が引越先を見つけられず引渡しができなくなってしまった場合、買主は、その物件に引っ越すつもりで現在の借家契約の解約を申出てしまい、しかも引越業者に前金を支払ってしまったなんてことが想定されます。買主にとって災難としか言いようがない事態ですが何とかするしかありません。どう対処するかはともかくとして選択肢として売買契約の解除があります。そのとき、既に支払われている手付金等が無事に戻るか非常に不安定な状態になります。

 

 エスクロウ制度においては、エスクロウ会社という業態の民間企業が売主、買主からみて中立な立場で契約から取引完了までの事務(登記も含む)を司り、同時に中間で発生する支払金を完了時まで預かって最後に清算する仕組みになっています。これで、すべてが解決するわけではありませんが、少なくとも事例に挙げた不安定な状況の一部は解消されます。

 

次回はエスクロウなど存在しない日本の場合における安全性の確保についてお話ししたいと思います。