人気エリア 例:武蔵小杉

最近では、「むさこ」と呼ぶ人もいます。そう、何かと話題になる「武蔵小杉」のことです。人によっては「武蔵小山」をそう呼びますが、今回は『小杉』の話題から始めたいと思います。かつては、東急東横線とJR南武線が交差する駅でした。今は東横線に並行して目黒線が走り、加えて同じ武蔵小杉の駅名ですが、徒歩10分以上もかかろうかという、とんでもなく離れたところに横須賀線、湘南新宿ライン、成田エクスプレスの乗換駅ができて、ある意味では大変便利になりました。

 

それに伴い街の様子も様変わりしました。大手企業の工場跡地には高層マンションやお洒落な商業施設が建ち並んでいます。私も日用品などは多摩川を超えて、この街で買い物をします。特に、ここ1年は週末になると買物客で賑わっていて商業施設の駐車場は赤い字で「満」と表示されていることが多くなりました。

この街を歩いている人を観察すると、私より若い、30歳代くらいの夫婦が小さな子供を連れている姿が目につきます。活気はありますが何となく落ち着かない気分の中で買物を終えて家路につくと少しほっとします。

 

自宅のあるマンションも交通の便が大変良くて、どこに行くにもどこから帰るのも何通りも経路が見つかって悩んでしまうことがあります。そんなところも気に入って4年前に購入して引っ越してきましたが、そのときの販売員からどんなご家族がこのマンションの購入者なのか尋ねてみたところ、少々予想に反する答えが返ってきました。何と30歳代の購入者が一番多かったそうです。そういえばマンション内で小さな子供をよく見かけるし、幼稚園の送迎バスも通っているようです。

 

武蔵小杉の高層マンションと自宅のマンションとで価格を比較すると、坪単価でだいたい同じくらいのようです。武蔵小杉はこの10数年で急激な変貌を遂げて神奈川県でも値上がり率の高い注目のエリアであり、冒頭で述べた通りそんなことで話題にのぼるエリアです。一方、自宅のマンションがあるエリアは伝統的な住宅街として認識されていて、不動産もそれなりの価格はします。両者は、これまでの街の生い立ちも、現在の街の雰囲気も異なりますが、首都圏でも比較的人気が高いという点では共通しています。

 

人気の高いエリアに30歳代が集まる、言い換えれば30歳代でも高額の不動産が取得できるということは、住宅ローンを含む貸付利息が低金利であり、長期のローンが組める若者が返済金額を低く抑えられるといった面で最も恩恵が受けられることが一つ挙げられるかと思います。その他にも日本の社会が年功序列から能力主義に移りつつあることから若い世代においても高収入の層が出現しているかと思います。また、そういった成功者の道を歩き出した若者の育った環境においても親の収入が高かったのではないかと推測します。となると、自身の収入が高い若者は住宅取得に際して親からの援助も受けやすいとも考えられます。きちんとしたデータに基づいたことではありません。多分に想像力を働かせて推測しているだけですが、一応、以上の3つの要因から人気エリアには若者が集まるといった現象も理由がつきます。

 

 

前回、読書の話題として「老いる家 崩れる街」にふれました。そこで述べたように、ゆっくりと堪能しながら読んでいます。途中ですが、きちんとデータをそろえ、よく研究したなかなかの本だと思います。ただし、将来、首都圏が他地域に比べて極端に高齢化が進んで問題が顕在化すると予測している点において、今回、指摘した人気エリアにおける若者の移入を考慮すると日本全体の問題として高齢化に取り組まなければならないことに異存はありませんが、顕在化するのはやはり、地方や郊外からであって、都心部の人気エリアは最後まで崩れないような気がします。皆さんはどう思われるでしょうか?