不動産の小口化、その問題点

以前にこのコーナーで不動産を小口化して販売することについてお話させていただきました。そこで、不動産自体を小口に分割する方法の他に、不動産を所有する会社が発行する株式を不特定多数の株主で構成する形式、いわゆる不動産の証券化についても触れました。

現実には証券化された商品(REIT)は世の中に出回っていますが、単純に不動産を小口化した商品はそれほど多く見当たりません。それには、不動産自体を小口化するにあたって、二つの問題点があるからではないか、と私は考えています。

 

一つ目の問題点は、土地及び建物という実物を対象としているので、万が一、運営が破綻したときでも実体としての不動産の所有権が資産として存在しているといった安心感につながる反面、実体があるが故に、対象不動産の維持管理も含めて日々運営していかなければなりません。そのための様々な判断や意思決定を何十人、何百人もの共有者の合意を取り付けてゆくことは不合理を通り越して事実上、不可能です。これを解決するには所有と運営を分離して、所有者は資金を出資し配当は受け取るが、運営は運営会社に任せるという方法も考えられます。また、所有者全員が参画する協同組合を組織するなどの工夫の余地はあるようです。それにしても、法的な規制などハードルは高く、事例が乏しく資産としての将来性が不透明で、まだ社会的に根付いていないと思われます。

 

二つ目の問題点は小口化された不動産の再販市場が存在しないということです。つまり、小口化された不動産を一度、手に入れると定期的に配当は受け取れるが、元金を取り戻そうと誰かに売却しようとしても、どこに行ってどうすればいいか不明確です。これでは売却するときの不安が払しょくできません。

 

不動産を証券化すると、これらの問題がふたつとも解決します。先に述べた所有と運営の分離は運営会社に運営を任せるとしましたが、不動産の所有を運営会社の単独として、その会社の全株式に対して、本来、不動産を所有すべき共有者を株主とすれば同じことです。

また、既に証券市場においてREITが上場されて、マーケットとして存在して久しいことは周知の事実です。ここでは日々、証券化された不動産が売買されています。

 

 

以上のことから、不動産を小口化するには証券化する方がいいというのが、現時点での私の考えですが、証券化にも問題が潜んでいるかもしれません。今後の研究課題としていきたいと思います。