彼岸

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、この時期を境に、これまでの猛暑が様変わりして秋が駆け足でやってくるようです。彼岸とは仏教でいう死後の世界とでも言いましょうか。いわゆる三途の川の対岸で、ご先祖様も含め、この世で生を終えた者が川を渡っていくところです。それが、春分の日と秋分の日の前後を彼岸と呼んでご先祖様に手を合わすようになったのは何故でしょうか。

 

私の両親は、生前、お寺の行事には熱心で、お寺で主催される月例会に出席するだけでなく、こうした折には必ず自宅にお坊さんを招いて、経を読んでいただくのが常でした。何故、それほどまでに熱心だったのか本人たちに尋ねてみたことはありませんが、推測するに、二人とも子供の頃に当時は不治の病であった結核を患い、子供心に死を身近に感じていたかもしれません。また、10代後半の多感な時期に戦争が起こり、そこでも死と隣り合わせの経験をしています。そして、経済的にも苦しい時期を乗り越えて世間から成功者として認められるといった生涯において無常観を感じていたかもしれません。

 

人の一生というのは一人一人異なっていて同じであることはあり得ません。しかし、この世に生を受けてから幼少期、成長期、青年期を経て壮年期を迎え、晩年期、さらには最晩年期に至り、必ず死を迎えるという時間軸でそれぞれの時期を比較することはできます。私も来年は還暦を迎えるにあたり、ふっと気が付くと無意識のうちに、父がその年齢に何をしていたか現在の自分と比較していることが多くなりました。そうしてみると、残念ながら父に及ばないところがあまりに多くて畏れ多くなります。それでも、私のほうが恵まれている部分を見つけて残りの人生をより良く生きる糧にできるよう精進してゆくつもりです。

 

 

次の休日は彼岸の時期になるかと思います。両親を偲んで墓参りに行こうかと思っています。