進化の果てに

 先週は「マンション進化論」と題して草創期から現在売り出し中の新築に至るまで、様々な面で進化してきたことについて、簡単に触れてみました。今回は、マンションのどこが、どのように進化したのかを具体的にお話しさせていただきます。

 

 まずは、主な住空間を快適にするための専用部分についてです。新たな設備として、お風呂の追い炊き機能、浴室乾燥機能、キッチンにおける浄水器、食洗器、IH,リビング等における床暖房、ビルトインのエアコンなど新しい設備が付け加えられるようになりました。設備だけではありません。間取りについても当初と今とでは随分と異なります。たとえば、以前は、必ずと言っていいほど和室と押し入れとがセットになって配置されていましたが、最近ではほとんど見られません。理由として生活様式の変化もありますが、和室はふとんの出し入れによって寝室になったり客間になったり茶の間になったりと複数の用途に使えます。部屋全体の面積に十分な余裕がない場合は和室によって寝室と茶の間が兼用できることは大いに便利だったかもしれません。それにもかかわらず、和室が消滅したということは、全体的な専有面積が大きめにならざるをえません。たとえば同じ3LDKでも以前なら60㎡だったのが今は80㎡、今の60㎡は2LDKといったことです。さらにはワォーキングクローゼットやシューズインクローゼットといった新しい空間も造られるようになりました。

 

 次に、マンション全体のグレードに関わってくる共用部分についてです。当初のマンションは外壁に吹き付けタイルが使われていることが多く、今のような素敵なタイルで覆われているものは憧れでした。また、エントランスのデザインやオートロック、カメラ付きインターホンといったセキュリティーシステムも後に付加された機能です。建物の免震、耐震技術においても進歩していると思います。

 

 

 こうしてマンションの進化の歴史を大まかにまとめてみると、より快適な生活を求めて一方的に高級化してきたことがわかります。そうなりますと、当初は一戸建てに比べて割安感があることを売りにしていたマンションも、その高級感と実際の高額な価格に適合した立地条件でないとミスマッチを起こしてしまうという事態も見られます。これを生物の進化に準えると、まるで古代生物である恐竜がどんどん巨大化し、やがて絶滅して体の小さな哺乳類にとって代わられてしまったことを連想します。マンションも高級化の果てに、いわゆる億ションばかりになってしまい、一般の生活感覚と無縁の一部の人たちの住居になるのではないだろうか、との疑念を抱いてしまいます。「進化の果て」がこれでは、少々、寂しいとは思いませんか?今日のところは、この辺にして、続きは次回にいたしますので、引き続き目を通していただければ幸いです。