未来のマンション

 前回、前々回とマンションの進化について拙い考えを述べてきました。引き続き、今回はこれからのマンションが、こうなってゆくのではないか、あるいは、こういうマンションを造ってみたい、ということについてお話ししてみたいと思います。

 

 本題の前に少し寄り道して自動車業界に目を転じてみます、最近の新車の販売広告等を見ていて、危険回避や運転者の負担軽減のための自動運転が目に付きます。かつては、そのスピード、馬力などの基本的性能に、カーナビやエアコンなどの付属設備、かっこよいデザインを宣伝対象としていたと記憶しいています。ところが、AI(人工知能)やその他技術の進歩によって、人間の操作を必要としない「自動運転」が脚光を浴び始めています。自動車もまた、進化の過程であって、様々な変化を遂げているようです。

 

 住居であるマンションは自動車のように移動はしませんが、住人が外出先から帰宅して、そこで食事や入浴、睡眠、寛ぎ、場合によっては仕事、そして再び外出するといった生活において、多くの操作を必要とします。これらの作業を自動車の例に倣って自動化するなんてことは考えられると思います。仕事から帰路につくと自宅の部屋がそれを感知して帰宅時間を予想し、それに合わせてエアコンが作動し、浴槽にお湯が溜まり、予定時間にエントランスの前に立つと再び、そのことを感知して扉が開き、エレベーターが自動的に下りてきて出迎えてくれる。その後の状況は皆さんの想像にお任せします。このような生活が果たして良いのか、悪いのか?いや必要なのだろうか?わかりませんが、「進化」の一形態としては十分在り得ることです。そして、そのための技術、費用においても巨大化する恐竜と同じ道を歩んでいるように感じます。

 

 ここでマンションの草創期を振返ってみたいと思います。一つの土地を複数の所有者の共有として、その上に共同住宅を建設し、専有部分と共有部分を取り決めて、さらに、管理費も含めたそこでの生活ルールを規約とし決めることで、狭い土地に高層の住宅を提供することができたことは、後から機能を付け加えることで巨大化してゆくだけの「進化」とは全く違った次元の画期的な「進化」だったと思います。そして、それは、その後のマンションの基本的な形態を決定づけることとなる革新的なアイディアでした。

 

 

 私が夢として追いかける新築マンションとはどのようなものか?その答えの一つは前述の「生活全般の自動化」です。しかし、ここに述べたように一方では巨大化する進化に危惧を抱いています。そこに、まだ答えの見つからない革新的なアイディアへの憧れを付け加えて、このお話を締めくくりたいと思います。