歴史ドラマの妙

現在、放映中のNHK大河ドラマ「せごどん」を毎週、楽しみにしています。ドラマの主役は言わずと知れた西郷隆盛。この歴史上の人物の生涯を描いています。大河ドラマは歴史を壮大な大河の流れに見立てて制作しているのですから、主役、脇役を問わず、自ずと登場人物は歴史上、名を残した有名人が多くなります。

 

私は小学校4年生くらいで、それまで夢中になっていたウルトラマンシリーズを卒業して大河ドラマを見始めました。どちらかと言えば早熟なほうかもしれません。こうして約半世紀に渡り大河ドラマを観ていると、どうしても同じ時代背景が何度も選ばれることになり、それぞれの作品の中で同じ人物が別の作家によって描かれ、そのそれぞれを別の俳優が演じることになります。中には、前作に出演した同じ俳優が、今度は敵対する役を演じたりすることもあって、そんなときは興醒めします。特にこの現象が多くみられるのは戦国時代末期と幕末から明治維新にかけてでしょう。

 

そして、私の頭の中は子供の頃、最初に登場した映像が歴史上の事実として定着し、二度目以降が如何にも事実とは異なる作り話の印象が湧き出てしまいます。ところが、いちいち数えていませんが、この歳になると10人目かそれ以上の西郷隆盛に出会うことになり、今度の西郷はなかなかいいな、とかいまひとつイメージが違うな、とか一人前に批評する余裕が出てきます。

 

 

考えてみれば、最初に目にした西郷が事実に即したもので、あとは作り話なんてことがあるわけもなく、その作家によって、遺された資料をどこまで読み解くか、あるいは、その解釈に独創性を持たせるかの違いはあっても、すべて、どれもが、その場にいて目にしたことの記録ではありません。どれも等しく、作家と俳優、その他大勢のスタッフによる創作です。その創作であるドラマが事実よりも観る人に感動を与えるであろうというのが、創る側の意気込みであり、観る側の欲求でもあるはずです。だからと言って、あまりにも史実からかけ離れてしまうと興味が削がれてしまいます。作家の皆さん、「史実は小説より奇なり」という言葉もあります。どうぞ、史実に基づいた本格歴史ドラマを見せてもらうこと熱望しています。