Fake

 ”fake”という言葉、以前はあまり耳にしませんでしたが、最近になってよく使われるようです。どこかの国の大統領の口からも頻繁に”fake news”という言葉が飛び出します。今、私の手元に、高校1年から使っている英和辞書があります。この古い辞書で”fake”を引くと、「模造品」「まやかし物」「いんちき」「虚報」…etc.とあります。40年以上使っている辞書にも当然、載っている言葉ですが、お馴染みになったのはここ数年のことです。

 

 最初に出会ったのは「バッグなどの高価な有名ブランド製品のfakeにご注意!」といったものでした。それまでであれば「模造品」と表記したところを英語が使われていました。何故、英語になったかは知りませんが、背景には海外からの模造品が大量に流入しているという事実があったのでしょう。その後も、度々、この言葉にお目にかかるようになりました。たとえば、美術品のfakeとか、冒頭で話題にした大統領の口癖もその一つです。

 

 大統領が”fake news”と決めつける対象の報道の真偽については関知しませんが、近年、明らかに”fake”と思われる報道がネットを通じて拡散するといった現象が社会問題になっているようです。新聞社やテレビ局といった報道機関とは異なり、ネットによる情報の発信元は匿名性が高いので、無責任に情報を垂れ流すこともあり得ます。また、意図的に”fake news”を悪用して世論を動かすとなると深刻な問題です。

 

 この問題に警鐘を鳴らす事例として、数年前にイギリスがEU離脱の是非をかけて行われた国民投票において、”fake news”が飛び交い、投票に影響を及ぼしたとありました。しかし、今、私がこのように記載している記事も、やはりネットで引っ張り出した情報であり、真偽を疑われても不思議ではないと思いませんか?

 

 

 一時期、既存の報道機関の記事が恣意的に歪められていることが指摘され、ネットを通じた現場の生の情報こそ真実だという風潮がありましたが、今度はネットの弱点をさらけ出したようです。結局のところ、情報を受取る側の見識と判断力が重要ということでしょうか。