大家業を選択

 前回、前々回と「不動産業って???」と題して不動産業の中の大家業の位置づけについて、長々と語ってしまいました。その上で、敢えて(・・・)弊社の主力事業に大家業を選択するに至った事情とは売却しても利益を残す事業環境ではなくなったということです

 

 私が収益不動産に注目したのは平成13年頃でした。当時はバブル崩壊の疵が癒える前で、「不動産の購入」に対するアレルギーが蔓延する中で、多額の借金を抱えて不動産を手放さざるをえないオーナーに出くわすことは、個人、法人を問わず、そう珍しいことではありませんでした。この頃、私の頭の中には、ひとつの方程式があって、表面利回り13%で仕入れた収益不動産を同10%で売却することを目安にしていました。勿論、その保有期間に建物の整備や賃借人の優良化などを試みることなど、弊社のスキルの原型が培われることになります。

 

ところが、その後、競合他社や個人の動きなど事業環境が変化してきました。経験の浅い一般の人でも資金を準備できれば、手数料を支払って地元の不動産業者に実務を委託することで容易に参入できます。他にもファンドなど、多くの購入希望者がひしめき、仕入れ価格は高騰してゆきます。こうした市場環境の変化に対応するため、出口である売却価格を膨らませるため、不動産の小口化、証券化なども研究しました。しかし、どれも一時の弊社の利益のために将来にわたって不動産の価値を毀損する恐れがあり健全性に欠けるとして断念しました。

 

ところで、仕入れ価格が高騰する要因となった「個人の不動産投資」を薦める書籍やセミナーをよく見かけます。そこでは利息や建物の減価償却による節税効果などの様々なテクニックが紹介されており、その通りにしていれば資産がどんどん増えて大儲けできるような記述が目に付きます。しかし、実情は、長期間にわたり多額の資金を必要とする事業であるがゆえに、大きな借金をする場合が多く、その返済をしながら利益を残すのは容易ではありません。昔から、新規に資金調達して始めるにはハードルが高く、もともと潤沢な自己資金があるか、または既に所有している(たとえば親から相続した)土地の有効活用に適した事業とされてきました。また、既に大家業を営んでいる場合でも、急激に事業規模を拡大することが難しいのも新規参入の場合と同じく新たに借入をするからです。そのことは、弊社においても同じだといえます。弊社も事業拡大のため賃貸用不動産取得のために多額の借入金返済をしており、それでも尚、利益を出すために様々な努力を積み重ねています。

 

 

つづく